「観てよかたぁ!」とするためには、観る側の責任もある

「コイツ犯人じゃね?」「次この女殺されるな」「オチは~だな」と、観ている最中にアレコレと予想を挟む人と映画を観ると、面白さが半減します。

また、観終わった後、「ちょっと違うなぁ」と首を傾げ、「あぁ、ダメだなぁ」とケチをつける人と会話するのも残念な気持ちになります。

そんなとき心の中で呟くのです。

オマエのために作った映画じゃねぇよ、文句あるなら自分で映画作れよ!

このサイトでは、どうせ映画を観るなら、変な勘繰りを捨て、観終わったあとに「観て良かったぁ!」となれるように心を素の状態で観ると楽しめる映画をご紹介したいと思います。

もちろん人間ですから、観ている最中に「次はどうなるんだ?」などの、思考は浮かびます。その自分の思考が覆されるような結末を迎える映画を選んでみました。 思わず観終わった後に口がポカンとするようなどんでん返しを体験していただければ幸いです。

ミステリー映画は、基本どんでん返しですね。予想外の人物が犯人となるわけですから…。そのときも、ぜひ心を素の状態で観ましょう。アナタは名探偵でも、名刑事でもありません。勘繰りを捨て、事件の成り行きを見守りましょう。

その他のジャンルの映画も、競馬や競輪じゃないのです。当たった、当たらないを持ち込んで一喜一憂するのではなく、製作側の意図にまんまと嵌ってみましょう。

映画を「観て良かったぁ」とするためには、観る側の責任もあるのですね。せっかく観るのなら、素直に楽しみましょう。

サプライズは相手を楽しめるもの、受ける側も素直受けてみよう

分かっていただきたいのは、製作側はアナタにサプライズを与えたいのです。

サプライズを与える側になったことはありますか?与えた相手が驚いてくれると嬉しいですよね。

映画を製作する側の人たちもやはり同じだと思います。観客を嵌めてやろう!と意気込んで作っています。予想だにしない結末を迎えることで観客が驚けば、製作側も観客側もウィン・ウィンの関係になります。

仕掛けたサプライズを先に予想されてしまったら、仕掛けた側も仕掛けられる予定だった側も無為な時間だけを過ごしたことになってしまいますよね。

ならば映画を観るときは、心構えをせず、楽な状態で鑑賞しましょう。そして、サプライズを素直に受け留めましょう。

今回、いろいろなジャンルからの映画をご紹介させていただきます。中には観たことあるものもあるかもしれません。苦手なジャンルもあるかもしれません。

しかし、お友達、お知り合いに紹介したくなる映画を厳選しましたので、ぜひおススメしていただきたいと思います。人に紹介するときにも、決してオチを話さないようにお気をつけてください。

また、ご自宅でDVDやBRで観ることになると思いますが、途中で席を立つようなこともせずオープニングからエンディングまで途中で一気に観ていただくようにしてください。

中には話の根底から覆されるエンディングを迎えるものもありますので…。

日本を代表する二大女優の夢の競演でどんでん返し『ルームメイト』

江戸川乱歩、横溝正史など、日本のミステリーはどこか陰湿さを感じてしまいます。が、決して悪い意味ではありません。日本の風土にあったものなのでしょう。そして、新たなミステリー作家今邑彩の小説を映画化したものが今作『ルームメイト』。

ルームシェアをすることになった女性が、同居人の友人の仕業と思われる恐ろしいできごとに巻き込まれていく恐怖を描きます。初めて心を許せる同性の友人と一緒に暮らすことになったのだが、やがて彼女の恐ろしい姿を知ることになっていくホラー・サスペンス。

監督は、『オトシモノ』『アナザー Another』などのホラー映画を手掛けた古澤健。黒沢清監督の下で鍛えられた手腕を発揮し、展開の読めないサスペンスを創り上げました。

そして、なんと言っても北川景子、深田恭子という日本を代表する二大美女の初共演が話題となりました。まさに『競演』という言葉がぴったりの迫力のある演技を見せてくれます。監督が「後半の二人の変貌ぶりは凄い!本当に驚かされました」と絶賛するほどの迫真のある演技は見ものです。

主演二人と共に共演するのは、将来有望視されている高良健吾。優しき男性の役どころなのですが、北川景子と深田恭子の迫力ある演技に圧倒されるせいか、さらにいっそう優しい男性に思えてしまいます。

事件が解決すると思えば、新たな展開を見せ、二転三転するストーリーは、観る側を驚愕させます。そして、目を覆いたくなるような悲しき真実に直面します。PG12指定となりますので、ご家庭でご覧になるときは、お子様のいないときにご覧ください。特に女の子のいるご家庭ではご注意ください。

派遣社員の春海(北川景子)は、ある夜、交通事故に遭ってしまいます。気が付くと病院のベッドの上、春海は自分が事故に遭ったことさえ覚えていません。事故を起こした加害者の工藤謙介(高良健吾)は、高校時代の友人で保険会社に勤務する長谷川とともに春海の元に見舞いに訪れます。

しばらくの入院生活が余儀なくされ、病院に勤務する看護師の麗子(深田恭子)と気が合うようになり、やがて二人の間に友情が芽生えます。

春海が退院するころ、麗子も病院を退職することになっていました。麗子は二人でルームシェアをしないかと持ちかけます。春海は、麗子とルームシェアすることを決め、二人の共同生活が始まります。

ところが最初は順調だった二人の生活だったのですが、公園で幼い姉妹が遊んでいる犬を見たときに見せた麗子の変化に違和感を覚えます。そして、ある日キッチンで煮立つ鍋の中に犬の頭部を見てしまいます。

麗子は「私はやっていない!誰かが勝手に自宅に侵入したに違いない」と言い張るのですが、春海は不信感を持ち始めます。そして、ついにはかつて麗子の同僚だった看護師が無残に殺される事件が起きてしまいます。

目撃者の証言と同じ洋服を麗子のクローゼットで見つけた春海はパニックになり、健吾の元に逃げ出すのですが…。ここから事件は、大きく動き始めます。どんでん返しを迎えことの真相を知ることになります。しかし、一度は解決した思われる事件の真相も、腑に落ちない健吾…、さらなるどんでん返しが待ち構えています。

かつてない斬新な角度でホラーを描いた異色作『キャビン』

ホラー、ビジネス、管理社会など、多くのテーマを含んでいますが、やはりジャンルはホラーに落ち着くという異色の映画です。ホラー・ファンならワクワクしたくなるシーンがたくさん出てきます。

まずは、こんな奇想天外なストーリーをよく思いつくものだと感心します。娯楽作品なので、上から目線で小難しく考えて観ないようにしてください。とても面白く、映画愛、ホラー愛が詰まった作品です。むしろ多くのホラー映画を観てきた人にとっては、良き教材となる映画かもしれません。

バカンスで羽目を外す若者たちが、定番の役割がそろったメンバーで、定番の人里離れた山奥のキャビンで、定番のやってはいけないことをやってしまい、定番の恐怖を体験するという定番中の定番。ホラーの鉄板の流れです。

ですが、面白いのです。この定番を逆手にとって、まさに逆転の発想で意外などんでん返し的ストーリーを展開します。そして、最後の最後にもうひと捻りのどんでん返しをしてくれます。

監督としては、この1本だけ。テレビ・ドラマシリーズの超ヒット作『LOST』『エイリアス』などで脚本家を務めたドリュー・ゴダード。奇妙なストーリー展開も頷けます。

出演者は、他の夏の定番ホラー同様、残虐に殺されていく役どころなので、ギャラの高い役者さんは使えません。よって日本では知られていない方たちが多いです。また、DVDの吹き替え版で桜塚やっくんが声優を務めていますので、ぜひご確認ください。

メイン出演者の中で唯一の有名どころが、『アベンジャーズ』『マイティ・ソー』で、最近売り出し中のクリス・ヘムズワースです。最近も大作への出演が相次いでいます。

そして、そんな若い役者さんの中で、最後の最後に大物の女優がゲスト出演していますので、こちらもぜひお楽しみにしていただきたいと思います。この人の登場もある意味どんでん返しでした。

夏のバカンスを奥深い森のキャビンで過ごすことになった若い男女5人、定番です。行く先から、ハイになる者がいるのも定番。途中のガソリン・スタンドでは、意味ありげな愛想の悪い老人が意味深に対応するのも定番。今まさに何かが起こるに違いないというホラーの王道を進みます。

やっとたどり着いた森のキャビン。見るからにヤバい、そのたたずまいもホラーの定番。彼らはそのキャビンで地下室を発見。行かなければいいものを、やってはいけないことをやってしまうホラーの定番。そこで古いノートを見つけます。そして、そこに書かれている呪文を(…やってはいけないのに)唱えてしまいます。

定番通り調子に乗ってその呪文を唱えたことで、彼らは何者かの目を覚ましてしまうのです…。彼らが起こした者は、死霊だったのです。そして、仲間の一人が無残に殺されてしまいます。

アナタは「辞めとけよ」と心の中で訴えるはずです。でも、定番通りやってしまい、案の定。悲劇は起こります。これほどまでに観る側の予想がズバズバ当たる映画も珍しいはずです。しかし、予想ができるのはこの辺りまで…。

実は観ているアナタは初めから騙されていたのです。この映画、こんなに単純なものではありませんでした。ストーリー二転三転し、とんでもない阿鼻叫喚の世界に巻き込まれ、救いようのない結末を迎えます。

これぞ、ホラー・ファンのため王道のホラー映画といえます。

不条理という言葉しか浮かばないどんでん返し『隣人は静かに笑う』

観終わったあとの虚脱感…。なんともいえない後味の悪さが心に残ります。思わず隣人は何をする人なのかと考えてしまう映画です。アナタのご自宅の隣人は問題ないでしょうか?今の時代、隣の人が何をしているかなんて干渉しませんからね…。

まず邦題が怖いです。挙動のおかしい正体不明の隣人のことを調べていたら、危険な事件に巻き込まれていく不条理な悲劇を描いたサスペンス映画です。お子様をお持ちの方にぜひ観ていただきたい作品です。

監督を務めるのは、マーク・ペリントン。リチャード・ギア主演のホラー映画『プロフェッシー』でアメリカの都市伝説モンスマンを描きました。

出演は、1976年版『キング・コング』、『レガシー』シリーズ、『アイアンマン』など話題作の出演が多いジェフ・ブリッジス。テロの歴史を教える大学教授マイケルを演じます。

そして、『ショーシャンクの空』、『トップガン』のティム・ロビンス。『ミスティック・リバー』でアカデミー助演男優賞を受賞しています。今作では、ジェフ・ブリッジス演じるマイケルを恐怖に陥れる謎の男を演じます。2大名優の競演で、なんとも言えない不条理な世界を描きます。

親切をしたはずの隣人家族。最初こそ、感謝され、楽しい交流が始まるのだったのだが、ある日を境に、隣人の言動がおかしいとこに気付き、彼のことを調べはじめると、意外な事実を知ることなり、危険な目に遭い始めることなるスリラー。

マイケル(ジェフ・ブリッジス)はテロリズムの歴史を教える大学教授。2年前に妻を失い、幼い息子グランドと共に二人でワシントン郊外で平和に暮らしています。ある日、自宅の近くで花火で大やけどを負った少年を助け、病院に担ぎ込むのです。

その少年は、つい最近隣に引っ越してきた家の子供でした。両親のオリバー(ティム・ロビンス)とシリル夫妻は、マイケルに感謝し、以来両家族の交流が始まるのでした。オリバーは、設計技師であり、夫婦の間には3人の息子がいるごく普通の家族でした。すっかり仲が良くなったマイケルはたびたびオリバーの自宅を訪れるようになります。

しかし、オリバー宛の同窓会の案内を目にしたことから、疑念を抱くことになります。マイケルは、オリバーが学歴詐称をしていることを知り、他にも隠しごとをしていることを疑い始め、単独で調査を開始します。

やがて、マイケルはオリバーの正体を突き止めます。それは、過去に爆弾テロを起こしてきたウィリアム・フェニモアだったのです。そして、現在あるテロ集団の一員であり、何かを企んでいるらしいことまで突き止めます。

マイケルはFBIに助け求めるのですが、まったく相手にされません。そこから悲劇は連鎖します。マイケルの恋人ブルックが不審な交通事故で命を落としてしまいます。そして、サマー・キャンプに行っているはずの息子のグランドまでもが…。

ここから先…想像できない、いえ、想像したくない結末に向かっていくのですが…。日本には「死んでも死にきれない」という言葉がありますが、この映画を観たら、まさにこの言葉が脳裏をよぎると思います。

金がある色男はすべてを手に入れられる?『オープン・ユア・アイズ』

なぜか英語の邦題がついたスペイン映画です。第11回東京国際映画祭でグランプリに輝いたサスペンス映画でありながら、前半は一人のストーカーの女に運命を狂わされるサイコ・スリラーでもあります。

ストーリーは大きく2つに分けられます。前半はストーカー女の恐ろしい執念を描き、後半では悪夢か現実か分からない不思議な体験をする主人公のジレンマを描きます。

また、トム・クルーズ主演で『バニラ・スカイ』というタイトルでハリウッド・リメイクされています。両作品ともストーリー展開はほぼ同じです。話題になったのが、ペネロペ・クルスが同じ役で両作品に出演していることもありました。

ストーリーそのものは同じなのですが、細かいリテールなど、やはり今作の方がヨーロッパらしい繊細さが表現がされています。ぜひ、両作を見比べていただきたいと思います。

スペイン映画なのでスタッフ、キャストとも、日本人に馴染みのある方は多くありません。唯一、ペネロペ・クルスがこの映画をきっかけにハリウッド・デビューをし、大女優の仲間入りをすることになりました。

監督はアレハンドロ・アメナバル。今作のあとに、ホラー映画『アザーズ』の監督をしています。『アザーズ』では、製作にトム・クルーズが参加、主演をトム・クルーズの元妻ニコール・キッドマンが主演を務めています。

主演の金持ちのハンサムな独身貴族セサルの役をエドゥアルド・ノリエガ。スペイン、フランスを中心に活躍中です。ハリウッド版では、今役をトム・クルーズが演じます。

セサルが一目ぼれした美女ソフィアをペネロペ・クルスが演じます。オリジナル版、ハリウッド・リメイク版ともに演じるという、珍しい配役を経験します。同じ役柄なのですが、リメイク版の方がのびのびと演じているようにみられます。

さらにハリウッド版では、ストーリー女の役を、『チャーリー・エンジェルズ』シリーズのキャメロン・ディアスが演じています。狂気に満ちた演技で観た側を震え上がらせます。

刑務所内の精神病棟で、セサルは担当の精神分析医と面談するところから始まります。そして、ここまでの経緯を語り始めるのでした…。

セサルは親の遺産を相続したプレイ・ボーイ。日々自由な恋愛を楽しみ贅沢な生活を送っています。今、付き合っている女性はヌーリアという嫉妬深い性格。

日々贅沢に暮らしているセサルは、誕生日に自宅でパーティーを催します。そこに友人が連れてきたソフィアという女性に一目惚れします。ヌーリアはそのことに嫉妬し始めます。ヌーリアはセサルを誘って、ドライブに出かけます。

そして、ヌーリアは二人が乗った車を暴走させ、心中を図ります。暴走した車は崖から転落します。ヌーリアは死んでしまいますが、セサルは命が助かるのですが、顔には大きなケガを負ってしまいます。

事故でセサルの人生は一変します。白いマスクを身に付け、醜くなってしまった彼の元からは友人たちが去りはじめ、ソフィアからも冷たくされていきます。絶望したセサルは酔いつぶれ、路上で寝てしまうのでしたが、目が覚めると…。