1966年製作。今から50年も前のない映画なのです。当然、CGなどの特殊効果はありません。それゆえ、アナログの迫力があります。ストーリーは二転三転し、ノンストップで観ることができます。

タイトルの『アラベスク』とは、壁画に描かれた文様を意味します。この映画においては、象形文字で書かれた謎の『暗号』を指します。その暗号をめぐって、解読と真相を追求するサスペンス映画です。品のいいイギリス映画と思えば、アメリカン・ジョークも飛び交ったり見応えは十分です。

いったいだれが味方で、だれが敵か?そして、暗号の意味は?登場人物が常に嘘をついていて、観ている側も騙され続けます。舞台はイギリスなのですが、主人公はアメリカ人。50年前の作品とは思えないほどアメリカ人らしい軽妙なトークも古さを感じさせません。

監督は、『雨に唄えば』『シャレード』などの名作を手掛けたスタンリー・ドーネン。御年92歳。1988年には、アカデミー名誉賞を受賞し、壇上でタップダンスを披露して話題を集めました。

主演は『ローマの休日』『大いなる西部』など、数多くの名作に出演を果たしたグレゴリー・ペック。今作では、オックスフォード大学で考古学を専門とするポロック教授の役をこなします。軽妙なトークを連発するアメリカ人らしい側面を見せてくれます。

そして、『ひまわり』『エル・シド』で、永遠の美女ソフィア・ローレン。アニメ『ルパン三世』の峰不二子のような立ち回りで、敵なのか味方なのか分からない謎の女の役を演じます。あまりの美貌ゆえ、味方にも見え、逆にとても悪い女にも見えてきます。ソフィア・ローレン演じるヤスミンのファッションにも注目です。

大学教授が象形文字の暗号を解読するために、暗殺事件に巻き込まれて翻弄されてしまうサスペンス映画でありながら、ポロックとヤスミンが惹かれ合っていく姿にも注目です。

ある日、眼科を訪れた大学教授が何者かに襲われ、メガネに隠された暗号の描かれたメモを盗まれてしまいます。その暗号は古代象形文字で描かれています。

オックスフォード大学の古代史教授ポロックは、大富豪ベシュラービから象形文字で描かれた暗号の解読を依頼されます。しかし、ポロックはそれを断ります。

ところがある日、ポロックは車で拉致されてしまいます。拉致したのは、中東にある国の首相。首相は、ポロックにベシュラービからの依頼を受け、ベシュラービをスパイするように頼みます。しかし、それは危険な仕事であることも付け加えます。

ポロックは首相の依頼を受け、ベシュラービの豪邸に滞在することになります。しかし、そこにいた謎の美女ヤスミンが、暗号の解読が済んだら殺されてしまうことを警告します。

暗号の書かれたメモを手にした二人はベシュラービの豪邸から脱出することに成功するのですが、実はヤスミンは別の組織のスパイであり、ポロックは殺されかけます。間一髪逃げたポロックの元に、再びヤスミンが現れるのだが…。

後半は派手なアクションもあり、日本の刑事ドラマのようなシーンもみられますが、暗号の書かれていたメモの解読など、サスペンスとしての面白さも目が離せません。登場人物の立場が二転三転するなど、50年前の映画もなかなか侮れません。