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ファンが大喜びするどんでん返し『ファイナル・デッドブリッジ』

映画愛、シリーズ愛とでもいいましょうか。『ファイナル・デスティネーション』シリーズの5作目。原題は『Final Destination 5』。日本では『ファイナル・デッド』シリーズでお馴染みです。

この作品をどんでん返し映画としてご紹介するのは、シリーズを通して観てきた人へのリスペクトでもあります。前4作のシリーズを観ずにこの作品を観た方には、どんでん返しの意味が分からない作品なのです。

次から次へと人が死んでいくホラームービーなのですが、シリーズを通じて、その死に様が凝りに凝ったもので話題の映画ですね。自分が死ぬヴィジョンを見た者が死から逃れようとするのだが、決して逃れることのできない恐怖。危ないと思うところで死なずに、安心したところで突然死を迎えます。

監督はジョージ・キャメロン監督の『タイタニック』『アバター』で、セカンドユニット監督を務めたスティーブン・クォーレ。長編映画の監督は今作が初。最新作は自然の猛威を扱ったリアル感あふれるディザスターパニック・ムービー『イントゥ・ザ・ストーム』で、話題を集めました。

出演者は、日本ではほぼ無名の若い役者さんが中心です。しいて言えば、ホラー映画『キャンディマン』シリーズのトニー・トッドがシリーズの重要な役で出演しています。生き残った者たちに、「死の席数は決まっている」などの意味深な言葉を残す謎の男を演じます。

4作目の『ファイナル・デッドサーキット』と同じく3D映像での公開となっていましたので、画面のあちこちに体の一部分や飛んでくる物体が強調されます。ご家庭のテレビに3D機能がある方は、ぜひ3Dでお楽しみください。

事故で死ぬヴィジョンを見た者たちが危険を回避し生き残るのですが、死は彼らを決して逃さない。死ぬ運命の恐怖におののく者たちの姿を描きます。序盤の橋の崩落シーンはなかなかの見ものです。

会社の研修で同僚たちとバスに乗っていたサムは、巨大なつり橋の上で橋の崩落事故に巻き込まれ、人々が次々と死んでゆくヴィジョンを見てしまいます。ヴィジョンは、自分が金属板で胴体を切断されるところで覚めます。

サムは危険を察知し、7人の仲間を連れてバスから非難します。その直後、橋は本当に崩落してしまうことになります。サムのヴィジョンのおかげで、大災害から生き残った8人は、マスコミから『ラッキー8』と呼ばれるようになります。

事故犠牲者の葬儀に現れた謎の男(トニー・トッド)が、彼らの前に現れて言うのです。「死は決してだまされない」と。それは彼らの死を暗示する言葉だったのです。そして、キャンディスが無残な死に方で…。それからも一人、また一人と仲間が死神の犠牲になっていきます。その順番は、サムが見たヴィジョンと同じ順番に…。

死に怯えているサムたちの前に再び謎の男が現れ、「他人に死を贈ることで死から逃れられる」と伝えるのだが…。サム、恋人のモリー、そしてエリートのネイサンが生き延びます。ここまでは、今までのシリーズとほぼ同じ展開です。

今作では、ここからどんでん返しがあります。生き残ったサムは、すべてを忘れシェフになるため、モリーを連れてパリに行くことになるのですが…。

ラストはシリーズを通して観ると、嫌な予感がするのですが、思わず顔に笑みが浮かびます。余談ですが、あと2作られるという噂がありましたが、今のところ進展はなさそうです。

こんな結末があるとは!人知の想像を絶する真相『エスター』

前作でもそうですが、映画のジャンル分けというのは、とても難しいものです。というのは、ジャンル分けをしてしまうと、それを頭に残したまま映画を観なければならないからです。つまり、ホラーといえば、ホラーと分かって観てしまい、サスペンスといえば、サスペンスと分かった状態で観てしまうからです。

できれば、そのジャンル分けさえも知らずに観ることによって、どんでん返しの感動が倍になったりするものです。この作品もそうです。しいて言えば、スリラーとしておきましょう。

観ている間は、この映画のジャンルはいったい何だろう?ホラーかな?サスペンスかな?と思っているところに衝撃のどんでん返しを迎え、この映画のジャンルは〇○だったのか!と自己満足するように味わって観たいものです。

こちらの原題が『Orphan』、「孤児」という意味です。邦題になっている『エスター』というのは、この映画に登場する孤児の少女の名前です。どのようないきさつでこの邦題が付いたかは、分かりませんが、悪くはないネーミング・センスです。

監督は『アンノウン』『フライト・ゲーム』など、スケールの大きな映画も手掛けているジャウム・コレット・セラ。製作にはレオナルド・ディカプリオが参加しています。

主演は、最近『死霊館』シリーズで知名度を上げてきているヴェラ・ファーミガ。2009年製作の『マイレージ、マイライフ』では、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞で助演女優賞にノミネートされています。孤児のエスターを引き取る母親を演じます。

ロシア人の孤児エスターを演じるのは、イザベル・ファーマン。最近では、『ハンガー・ゲーム』『アフター・アース』に出演しています。

孤児院から聡明そうな9歳の少女を養子にしたことによって、その家族が次々と恐ろしい出来事に巻き込まれる恐怖を描いたスリラーです。

ケイトはかつてアルコール依存症を患っていました。それが原因で、娘を溺れさせかけた経験をもち、そのことがトラウマとなっています。さらに3人目の子供を流産し、悲しみに暮れていたケイトとジョンは、その悲しみを癒すために孤児院で養子をとることになります。

孤児院で出会ったロシア人のエスターは年齢の割には、落ち着いており、音楽、絵画などの芸能の才能を持っている上、頭もよく、二人はエスターのことをすぐに気に入ります。

ケイトはかつてはピアニストとして活躍をしており、子供たちにもそれを引き継がせたかった。しかし、娘は聴覚障害を持ち、息子は音楽にはまるで興味を持っていません。そこで、エスターを引き取ることに決めるのです。

ともに生活を始めるようになると、エスターの奇妙な習慣が知ることになります。彼女は、首と手首に常にリボンを巻いており、入浴時には必ず施錠をするのです。そしてだんだんと本性を見せ始めます。

エスターの不気味な言動は、ケイトの前で徐々にエスカレートしていきます。しかし、ジョンの前では、決してその恐ろしい姿を現さない。エスターの正体はいったい?

結末はまるで想像しないどんでん返しが待っています。

二人の名演技『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』

この映画を観る前は、オカルト・スリラーとでもジャンル分けしましょう。最後のどんでん返しを迎えると一気に別ジャンルが変わってしまうかもしれません。脚本もさることながら、やはり役者の演技力の凄さを実感できる映画の1本です。

ハリウッド最高の名優ロバート・デ・ニーロと天才子役ダゴタ・ファニングが共演したオカルト・スリラー。名優と名子役、面白くないわけがありません。

シリアスな役から、コメディまで何でもこなす名優中の名優、ロバート・デ・ニーロ。『タクシー・ドライバー』『ゴッドファーザーPARTⅡ』など、その演技力は知っての通り。

そして、『アイ・アム・サム』で、各種新人賞を総なめにしたダゴタ・ファニング。スティーブン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』では、トム・クルーズとの共演も果たしています。今作でも彼女の叫び声は演技とは思えない絶叫ぶりを見せてくれます。

この名優二人をまとめ上げた監督は、意外にも監督実績が少ないオーストラリア人のジョン・ポルソン。正直、名前はあまり知られていません。しかし、今作でもいくつかのエンディングを用意するなど、商売上手な面を持っている監督です。DVDでは、異なるエンディングを観ることができます。

また、この映画の怖さを醸し出すもう一つの要素が音楽です。パニック映画や恐怖映画の音楽を担当することが多い、ジョン・オットマンの不気味な音楽が展開の読めないストーリー全編に流れます。

絶望するほどの不幸を背負った父と娘に課せられたトラウマ。そして、姿を現さない娘の【友達】が二人を襲う恐怖。すべての真相が明らかになったとき、絶望という言葉が脳裏をよぎります。

妻を亡くした心理学者の男性が、娘の心を癒すためにニューヨーク郊外の大きな湖のほとりの古い一軒家に移り住むところから物語は始まります。

ある日、浴室で妻が自殺を図ります。幸せだった一家を襲った悲劇。これをきっかけに9歳の娘エミリー(ダゴタ・ファニング)は心を閉ざしてしまいます。心理学者でもあるデヴィッド(ロバート・デ・ニーロ)は、娘の心を癒すために、静かな郊外に引っ越すことにします。

二人は仲睦まじくかくれんぼをしては幸せを取り戻そうとします。いつしかエミリーは、見えない友達チャーリーと遊ぶようになります。デヴィッドはトラウマを抱えた子供の空想遊びの一種であると思っていました。

しかし、ある深夜、気配を感じたデヴィッドは、浴室で「彼女を殺したのはお前だ!」という落書きを見つけます。エミリーに問い詰めると、泣き叫びながら「それを書いたのはチャーリー」と答えます。この家の中にチャーリーがいる…。

チャーリーはかくれんぼが得意だというエミリー。恐怖が連鎖し、家の中では奇妙なことが起き始めます。チャーリーは本当にいるのか、エミリーの虚言なのか、それとも亡霊の仕業なのか…。そして、チャーリーはついにはデヴィッドの友人エリザベスを殺してしまうことに…。

娘を守るために、心理学者のキャサリンとともに謎を解き明かそうとするデヴィッドだが、予想だにしていない驚愕の結末を迎えることに…。

ダゴタ・ファニングの絶叫が耳から離れないほどの迫真の演技。そして、ロバート・デ・ニーロの怪演が恐怖に拍車をかけます。DVDでご覧の方は、どのエンディングが自分好みか見比べてみるのもいいかもしれません。

完全犯罪の解決は信じていないモノの力による『ゴシカ』

完全犯罪とは、犯人が捕まらないことではなく、犯行が行われたことさえも気付かれないことをいいます。そして、その事実さえも闇に葬られていってしまう犯罪。ともすれば、日常の中に潜んでいるかも知れない凶悪犯罪。

その犯罪をこの世のモノでないものが、生ある者に伝えるとすれば…。そんなホラー・サスペンス映画です。ジャンルでいえばホラー映画です。

監督はマチュー・カソヴィッツ。フランス人で俳優業、監督業をしています。日本ではあまり知られていませんが、フランス映画『クリムゾン・リバー』で監督を務めています。今作がハリウッド・デビュー作となります。

出演者はなかなか豪華な顔ぶれです。正直、使いどころがもったいない感じもします。主演のミランダを『X-MEN』シリーズ、『キャットウーマン』のハル・ベリー。『チョコレート』では、アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。

そして、脇を固めるのが、『アイアンマン』シリーズ、『シャーロック・ホームズ』シリーズのロバート・ダウニー・Jr.。ミランダをフォローする精神科医を演じます。もう少し活躍するシーンを見たかったのが正直な感想です。

そして、『オープン・ユア・アイズ』『バニラ・スカイ』のペネロペ・クルス。女子刑務所に収容されている囚人を演じています。ハル・ベリーとの共演で話題になったのですが、こちらも使いどころが物足りなさでいっぱいでした。

犯罪心理学者のミランダは、夫が監督している女子刑務所の精神病棟で勤務しており、日々患者の心理分析を繰り返しています。そして、その患者の中にクロエ(ペネロペ・クルス)という殺人犯がいます。彼女は刑務所内で悪魔に襲われると告白し、ミランダを悩ませていた。

ある嵐の夜、ミランダは橋の手前で若い女性をはねそうになり、事故を起こしてしまう。そして、精神病棟の一室で目を覚ますのです。主治医は同僚のピート(ロバート・ダウニー・Jr.)。ミランダは合点がいかない。

そして、ピートから自身が夫を斧で殺害したと聞かされ、ここに収容されたことを聞くのです。しかし、そのような記憶はいっさいない。やがて、ミランダの身の周りでは奇妙なことが起きるのです。

ミランダは決して霊の存在は信じない。しかし、彼女の身の回りで起きることは尋常では考えられないことばかり。そして、霊はメッセージを残すのです。“Not Alone(一人ではない)”…そのメッセージの意味は?

刑務所の脱走に成功したミランダは、殺害現場となった自宅へ向かいます。そこで知った事実は?さらにミランダは農具小屋へ導かれ、恐ろしい真相を知ることになるのです。

やがて完全犯罪が明るみになり、結末が二転、三転します。ツッコミどころもあります。ラストシーンでミランダとクロエが街を歩いているのですが、ミランダは釈放されているの?いくら事件の真相が分かったとしても、それは…?なにか腑に落ちない感じを受けました。

また、クロエを襲っていたタトゥーの男の存在、なぜクロエなのか?そして、ミランダを襲った少女の霊はなぜあれほど凶暴だったのであろう?など、伏線が未回収のままでの終わりでした。

しかし、この映画をどんでん返し映画と紹介させていただいたのは、犯罪の意外な真相や解決法ではなく、ミランダの身に起き始めた事実なのです。ミランダは一連のできごとで…。これはご覧いただいてお確かめください。

また、せっかくのハル・ベリーとペネロペ・クルスの共演と話題になりましたが、その絡みはファンとしては物足りなかったのも少し残念でした。ペネロペ・クルスがもっと事件に関わるようにしてほしかったですね。