まず思い出してほしいのはアポロ11号が月面に着陸したのは1969年ということです。そして、40年経った今でも、「あのアポロ計画はねつ造である!」「人類は月面には行っていない!」という都市伝説があります。なぜそのような都市伝説が流れたのかは、この映画に一因があるかもしれません。

この映画をご存知の方は少ないかもしれません。1977年の映画です。今から50年近く前の映画です。当時はまだ『都市伝説』という言葉はありませんでした。しかし、都市伝説界なるものがあるとすれば、この映画は一石を投じた作品であることは間違いありません。

そして、この映画のせいでNASAは隠ぺい体質で、数多くの秘密の隠している危険な組織であるというイメージを植え付けられてしまったのかもしれません。ある意味映画の影響力の怖さを知ることができる作品といえます。

タイトルの『カプリコン・1』とは、火星有人ロケットの名称です。一見SF映画のようですが、実は全くSFの要素はないのです。ジャンルはいったい何にすればいいのでしょうか?しいて言えば、政治又は社会問題でしょうか。テーマは日本でも社会的な問題になることがある『やらせ』です。

『2010』『エンド・オブ・デイズ』などSF、オカルト系の作品が多い、ピーター・ハイアムズが監督を務めます。監督と並行し、脚本、撮影もこなすマルチな才能の持ち主です。

『オーシャンズ』シリーズのエリオット・グールド、『悪魔の棲む家』のジェームス・ブローリン、元アメフト選手で役者よりも殺人容疑で有名になったO.J.シンプソンなどが出演しています。

世界初の有人火星ロケット【カプリコン・1】を打ち上げることになったアメリカ合衆国。機は、無事火星着陸をし、探査をしたのだが、帰還の際、大気圏再突入で事故に遭い爆破、乗組員は全員死亡してしまった…はずだったのです。

300億という巨額の予算を投じたプロジェクト。初の火星有人ロケット【カプリコン・1】は、発射5分前、突然一人の男が操縦室の中に入ってきます。戸惑う3人の乗員。わけのわからないまま、3人の乗組員は船外に連れ出されます。

実は、直前にトラブルに見舞われたのです。しかし、NASAはそれを公表することができずに、無人のままカプリコン・1を発射させることにしました。5分後、世界中の人が見守る中、カプリコン・1は無人のまま打ち上げられます。

そのころ3人の乗員は飛行機に乗せられ、砂漠に連れてこられます。そこには大きな格納庫があり、その中には、大掛かりな火星の地表らしいセットがあります。そこから芝居をして宇宙中継の模様を映しだすとのことだったのです。

理由は、予算の獲得、世論の意識を宇宙に向けさせるため、プロジェクトの中止は不可能だったいう事実を告げられます。逆らえば、家族の身の安全の保証はないと脅され、セット内で火星探査の芝居を打つことになるのですが…。

よくぞNASAや政府が怒らなかったものだとう思うようなシナリオの映画ですが、試写会で内容を知ったNASAはやはり激怒したらしく、最初は友好的だったのですが、製作協力を拒否したことでさらに話題になりました。

また、アメリカ映画なのにアメリカでの公開がなぜか世界公開よりも1年遅かったことも新たな疑念を生む結果になりました。公開を遅らせた理由は公表されておりません。