この映画を観る前は、オカルト・スリラーとでもジャンル分けしましょう。最後のどんでん返しを迎えると一気に別ジャンルが変わってしまうかもしれません。脚本もさることながら、やはり役者の演技力の凄さを実感できる映画の1本です。

ハリウッド最高の名優ロバート・デ・ニーロと天才子役ダゴタ・ファニングが共演したオカルト・スリラー。名優と名子役、面白くないわけがありません。

シリアスな役から、コメディまで何でもこなす名優中の名優、ロバート・デ・ニーロ。『タクシー・ドライバー』『ゴッドファーザーPARTⅡ』など、その演技力は知っての通り。

そして、『アイ・アム・サム』で、各種新人賞を総なめにしたダゴタ・ファニング。スティーブン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』では、トム・クルーズとの共演も果たしています。今作でも彼女の叫び声は演技とは思えない絶叫ぶりを見せてくれます。

この名優二人をまとめ上げた監督は、意外にも監督実績が少ないオーストラリア人のジョン・ポルソン。正直、名前はあまり知られていません。しかし、今作でもいくつかのエンディングを用意するなど、商売上手な面を持っている監督です。DVDでは、異なるエンディングを観ることができます。

また、この映画の怖さを醸し出すもう一つの要素が音楽です。パニック映画や恐怖映画の音楽を担当することが多い、ジョン・オットマンの不気味な音楽が展開の読めないストーリー全編に流れます。

絶望するほどの不幸を背負った父と娘に課せられたトラウマ。そして、姿を現さない娘の【友達】が二人を襲う恐怖。すべての真相が明らかになったとき、絶望という言葉が脳裏をよぎります。

妻を亡くした心理学者の男性が、娘の心を癒すためにニューヨーク郊外の大きな湖のほとりの古い一軒家に移り住むところから物語は始まります。

ある日、浴室で妻が自殺を図ります。幸せだった一家を襲った悲劇。これをきっかけに9歳の娘エミリー(ダゴタ・ファニング)は心を閉ざしてしまいます。心理学者でもあるデヴィッド(ロバート・デ・ニーロ)は、娘の心を癒すために、静かな郊外に引っ越すことにします。

二人は仲睦まじくかくれんぼをしては幸せを取り戻そうとします。いつしかエミリーは、見えない友達チャーリーと遊ぶようになります。デヴィッドはトラウマを抱えた子供の空想遊びの一種であると思っていました。

しかし、ある深夜、気配を感じたデヴィッドは、浴室で「彼女を殺したのはお前だ!」という落書きを見つけます。エミリーに問い詰めると、泣き叫びながら「それを書いたのはチャーリー」と答えます。この家の中にチャーリーがいる…。

チャーリーはかくれんぼが得意だというエミリー。恐怖が連鎖し、家の中では奇妙なことが起き始めます。チャーリーは本当にいるのか、エミリーの虚言なのか、それとも亡霊の仕業なのか…。そして、チャーリーはついにはデヴィッドの友人エリザベスを殺してしまうことに…。

娘を守るために、心理学者のキャサリンとともに謎を解き明かそうとするデヴィッドだが、予想だにしていない驚愕の結末を迎えることに…。

ダゴタ・ファニングの絶叫が耳から離れないほどの迫真の演技。そして、ロバート・デ・ニーロの怪演が恐怖に拍車をかけます。DVDでご覧の方は、どのエンディングが自分好みか見比べてみるのもいいかもしれません。