この映画は、ミステリーとホラーの融合で成功を収めた作品といえます。そして、その融合があったからこそ迎えるどんでん返しのエンディング。見事な作品です。

監督はこのサイト第1作目で紹介した『バーディ』のアラン・パーカー。1987年製作の映画です。

出演者は豪華です。私立探偵エンゼルにミッキー・ローク。エンゼルに仕事を依頼する謎の紳士ルイ・サイファーにロバート・デ・ニーロが扮します。

とにかくミッキー・ロークがカッコいいのなんの。あの甘いマスクで汚れ役をこなすギャップが素敵なのです。そして、体当たりの演技。彼の映画の中で、一番のハマり役ではないかなと思います。

舞台は、1955年ニューヨーク・ブルックリン。戦後間もないニューヨークのノスタルジックかつダークな雰囲気が物語を引き締めます。私立探偵エンゼルのもとに謎の男サイファーから歌手ジョニー・フェイバリットの居場所を探すように依頼を受けるところから物語は始まります。

わずかな情報を頼りに、エンゼルはジョニーを探し続けます。入院していたとされる精神病院、かつてのジョニーの婚約者占い師のマーガレット…など、ところが行く先々で人が殺され、エンゼル自身も身の危険を感じるようになります。

やがてエピファニーという若い女性のもとにたどり着くのですが、彼女はブドゥー教の巫女であることを知ります。映画はここで宗教的側面を見せ始めます。

そして、エンゼルは占い師マーガレットの父親から、ジョニーに関するとんでもない情報を与えられます。ジョニーとマーガレットは、悪魔崇拝者であったこと、そして、歌手として成功するために、悪魔に魂(ハート)を売り渡したことを告げられたのです。そして、二人は悪魔から逃れるために一人の兵士を生贄にしたと…。

後半は一気にオカルトチックな側面を表しますが、このままで終わってしまえばB級映画になってしまうところですが、この映画の根本はホラーではなく、ミステリーなのです。

いったい、数々の登場人物を殺害した犯人はだれなのか?エンゼルの身はどうなるのか?謎の紳士ルイ・サイファーとはいったい何者なのか?そして、なぜ歌手ジョニーを探しているのか?

エンゼルがすべての真相を知ったとき、謎めいたいくつかの点が一本につながり、どんでん返しを迎えます。そして、この映画のタイトルに隠された意味もここで分かるのです。

しかし、ラストでこの映画はホラーではなく、やはりミステリーなのだという着地点を迎えるところが、この映画を傑作にした所以でしょう。

ミッキー・ロークの体当たりの演技が余すところなく生かされており、泣き叫び号泣するシーンなど、観ていて身震いするほどです。

また、全編を通して謎のカットのシーンが散りばめられているのですが、初め観ているときは「なんのカットだ?」となるはずです。しかし、これらも意味があるのです。これから観る方は、そういった細かいカットも意識して観てください。

とにかくミッキー・ロークが素敵すぎて、惚れてしまいそうですが、その後のミッキー・ロークは整形手術で失敗し、別人のようになってしまったことが、ある意味どんでん返しかもしれません。あのころのミッキー・ロークに会いたい。