生きているってなんだ?もちろん医学的に生死は判断できます。しかし、魂には医学や科学の力は及びません。そんなことを考えさせられた映画でした。

監督、脚本はスペイン人のアレハンドロ・アメナーバル。スペインではアルフレッド・ヒッチコックの再来と呼ばれています。代表作は『オープン・ユア・アイズ』。この作品を観たトム・クルーズがハリウッド・リメイク権を購入。その後『バニラ・スカイ』としてリメイク。トム自身が主役を演じています。

キャストは、主人公グレースをニコール・キッドマンが演じます。彼女の演技がこの映画を成功に導いています。そして、製作総指揮に元夫のトム・クルーズが加わっています。

明るい日の光がいっさい登場することなく、全編にホラー感が漂っています。残虐なシーンはなく、日本の怪談に近い心理的な恐怖を味わうことができます。これもひとえに、ニコール・キッドマンの演技力によるものです。

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さらにこの映画が幻想的な雰囲気を醸し出している理由は、ヒロインのニコール・キッドマン以外は、すべて目立たないようにかすんだような映像処理を施しているらしいのです。そのため、どこか地に足がついていないような感じがするのです。これから観ようと思う方は、その辺りも意識してみてはどうでしょうか。

監督のアイデアは、脚本と映像処理だけではなく、要所に使われているミステリアスな音響も監督自身の作曲なのです。監督の手腕がフルに発揮された傑作です。

第二次世界大戦直後、主人公のグレースは、二人の子供とたった三人で広大な屋敷で暮らしていた。夫は戦地に行ったまま帰ってきていない。娘のアンは、日光を浴びることができない病にかかっており、屋敷は常に厚いカーテンが閉じられています。だから、屋敷内は常に薄暗いままになっています。

そんなある日、家族のもとに新しく三人の使用人が現れます。それから屋敷では、不思議な現象が起きるようになるのです。ラップ音がしたり、見知らぬ子供の泣き声が聞こえたり、娘のアンは、見知らぬ少年とその家族が屋敷に入るのを目撃します。

グレースは救いを求めるために村の教会に向かうのだが、深い森からは出ることができない。そして、迷っている霧の中で夫に出会うことになります。そして、二人で屋敷に帰るも、翌朝には夫の姿はまた消えてしまうのです。

ポルターガイスト現象の真実、屋敷に入ってきた少年はだれか?子供たちが見た恐ろしい老婆の正体は?謎がどんどん大きく膨らんでいきます。

そして、3人の使用人がグレースの屋敷に来た目的が分かったとき、一気に物語はエンディングに向かいます。結末は、思いもよらぬ大どんでん返しが待っています。それは、とても悲しい真実。子供たちを守る母親、夫を待つ妻、その強い思いが悲しみを増大させます。

前作『ジェイコブス・ラダー』がお父さんにおススメする映画だとすれば、こちらの映画はお母さん、奥さんにおススメの映画です。あくまでのホラー映画ですが…。