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アクションばかりじゃない…『ワイルドスピードMEGAMAX』

2011年製作。どんでん返し映画でこの映画を挙げる人はまずいないでしょう。そういう類の映画ではありませんので…。変わり種ということでピック・アップしました。しかし、この映画面白いのです。激しいカー・アクションの中にさりげなく、この映画でなければできないどんでん返しを組み込みスカッと結末を迎えるのです。

カー・チェイスの凄さはシリーズ最高のできです。もう街一つ壊してるんじゃない?っていうほど徹底的に暴れまわります。ただ、そこだけに目を向けずにストーリー展開もしっかり味わってほしい作品です。

しかし、やはりアクション映画ですので、こんなことできるか?なんて言葉はご法度です。それを踏まえた上で、楽しんでいただきたいと思います。そう、こういった映画は、小難しいことを考えずに楽しむためのものですから。

そして、注目して欲しいのが、監督のジャスティン・リンなのです。この『ワイルド・スピード』シリーズの現在7作中、『ワイルド・スピードX3TOKYO DRIFT』『ワイルド・スピードMAX』『ワイルド・スピードMEGA MAX』『ワイルド・スピードEURO MISSION』の4本を監督しているのです。

しかも、この監督ほぼインディーズなのです。「ほぼ」という曖昧な表現すが、この方『ワイルド・スピードX3TOKYO DRIFT』の撮影後に、インディーズとして『ブルース・リーを探せ』というドキュメンタリーをインディーズとして撮っているのです。

ご本人は申し訳ないのですが、それほど実績のない台湾出身の若手監督がこれほどの作品を撮ったことが一番どんでん返しでもあります。製作のニール・モリッツの人を見る眼力なのでしょうか?そして、このあと『スター・トレック』最新作も控えているのです。

キャストは、お馴染みヴィン・ディーゼル、先ごろ事故で亡くなったポール・ウォーカーをはじめ、オリジナル・キャストが勢ぞろいします。そして、この作品から元プロレスラーの
ロックことドウェイン・ジョンソンが参戦します。

国際指名手配を受けているドミニク(ヴィン・ディーゼル)はブラジル、リオデジャネイロに潜伏。同じく追われる身となってしまった元FBI捜査官のブライアン(ポール・ウォーカー)は、ブラジルで身を隠しながらの逃亡生活。彼らはそんな生活から抜け出すために無謀ともいえる賭けに出ようとします。

それはリオの裏社会を牛耳る黒幕レイエスの警察署に保管されている闇金1億ドルを強奪するというもの。それも金庫ごと!その金庫がひょいと持ち上げられるような代物ではなく、まるまるひと部屋分ほどの大きさ!

そんな巨大な金庫をスポーツ・カー二台で盗み出すのですが、もうリオの街中を破壊しながらの逃走劇。ドミニクとブライアン、マフィア、彼らを追う外交保安部DSSの三つ巴のカー・チェイスが繰り広げられます。

しかし、その巨大な金庫を持っての逃走には限界があります。金庫を置いていくことを条件に、DSSに見逃してもらいドミニクとブライアンはその場を後にするのです。目を見張る壮絶なカー・アクションを楽しみながら、どんでん返しを味わってください。

オカルトチックなミステリー『アイデンティティ』

2003年製作。世界中でロングヒットを続けたサスペンス映画。どんでん返し映画では、必ず挙げられる1本ですね。オカルトチックに展開するストーリーが観客を惑わします。

監督は脚本家出身のジェームズ・マンゴールド。さすが元脚本家だけあって、物語の展開は上手で、観ている者にほどよいストレスを与えながらも、テンポよく進行させ、結末へ向け幾重に重なった謎を一つずつ紐解いていきます。その手腕は、お見事です。

出演は、『2012』『推理作家ポー最期の5日間』の名優ジョン・キューザック。『グッドフェローズ』『ハンニバル』のレイ・リオッタ。

先の読めない展開。張り巡らされた伏線が、最後は1本の線になったとき、観ている観客は度肝を抜かされます。こういう映画は、本当に予備知識を持たず観るとおもしろさが倍増すると思います。これから観ようと思っている方は、お一人でいっきにご覧いただくようしにしてください。

決して繰り返し何度も観る映画ではありません。むしろこの映画は、一度観たら二度目は興興醒めしてしまいます。なので、リピーターが出るような映画ではありませんが、公開当時ロングヒットした理由は、やはり口コミで「この映画凄いよ」が広まっていったのでしょう。

田舎町の一軒のモーテル。嵐のせいで身動きのとれなくなってしまった11人の男女が一人、また一人と謎の死を遂げていく恐怖を描いたサスペンス映画。謎が散りばめられたストーリー展開と驚愕の結末が話題となりました。

睡眠中の判事が電話でたたき起こされます。死刑囚マルコムの再審議をするように、と。マルコムは、翌日の死刑執行が決定していたのです。真夜中異例の審議が始まろうとしています。車いすで運ばれてきたのは、マルコム。弁護側は彼の罪状を再審議するように要求するのです。

判決を覆せるほどの証拠があるのか?弁護側が提出したのはマルコムが書いた日記。その日記に書かれている内容は?かくして再審議が始まろうとしています。折しも窓の外は嵐、激しい雨粒が窓ガラスを叩きます…。

田舎町の1軒のモーテル。そこに瀕死の女性が運びこまれた。パンク修理中に車にはねられたのです。はねたのは元女優の運転手エド(ジョン・キューザック)。彼は元警察官。モーテルで助けを求めるも、嵐のせいで電話は不通。助けを求めに街へ向かうエドだが、道路は洪水で冠水。

道路が冠水し進むことができなくなった凶悪犯護送中のロード刑事(レイ・リオッタ)もこのモーテルにたどり着きます。激しい嵐のせいで行き場をなくし、身動きのとれなくなった11人の男女。それぞれが偶然たどり着いたはずだったのですが…。

護送中の凶悪犯をトイレに閉じ込め、嵐が通り過ぎるのを待つしかない。ところが、女優が殺され、頭部が洗濯機の中から発見されます。そして、トイレに閉じ込めたはずの凶悪犯は抜けだし行方不明に…。ここから死のカウントダウンが始まるのです。

モーテルに集まった人たちの運命は?真犯人は?そして、死刑囚マルコムとの関係は?その真相を知り衝撃を受けます。そして、最後のどんでん返しでなんともいえないやるせなさを味わってください。

元祖どんでん返し的映画『スティング』

1969年製作。映画好きなら、誰しもが観ているはずの名作ですね。物語の章が紙芝居のように展開していく、今見ると少し斬新なアイデアがアナログ的でおしゃれです。

監督は『明日に向かって撃て』『華麗なヒコーキ野郎』のジョージ・ロイ・ヒル。古き良き時代のアメリカを知るには、この監督の作品は的確です。服装や小物など、アメカジに憧れる方にはお手本となる作品がたくさんあります。

同監督の『明日に向かって撃て』で共演を果たした二人の名優ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが再共演します。『ジョーズ』で無愛想なベテラン漁師を演じたロバート・ショウが冷徹なギャングのボスを演じます。

イカサマ詐欺師が仲間を殺されたイカサマ詐欺師がギャング組織に復讐するコメディカルな犯罪映画。第46回アカデミー賞作品賞を受賞した名作です。

不思議なことに、いつの間にか、われわれ観客は詐欺師グループに騙される悪玉であるロバート・ショウ演じるボスのロネガンの側についてしまい、彼を不憫に思えてきてしまうのです。

1936年のシカゴの下町。フッカー(ロバート・レッドフォード)を含む3人の詐欺師が、通りすがりの男から詐欺をはたらき思わぬ大金を手にします。しかし、その男はギャング組織の一員だったのです。

フッカーたちはロネガンの組織の金に手を出してしまったのです。それを知った組織は報復を開始します。手始めにフッカーの師匠にあたるルーサーが殺害されます。復讐を誓ったフッカーだったが、身の危険を感じヘンリー・ゴンドルフ(ポール・ニューマン)に助けを求めるのです。

復讐のために相手を陥れることに乗り気ではなかったゴンドルフだったが、相手がロネガンと聞くと、一転ヤル気を出すのです。しかし、二人はともに詐欺師、お互いの中に本当の信頼は芽生えていないままです。

ゴンドルフは昔の詐欺仲間たちを集めて大博打を打つことを計画します。そして、列車内でポーカーが繰り広げられることを知ったゴンドルフは、それを利用し、ロネガンに挑発にかかり、さらにフッカーをロネガンの懐に飛び込ませる方法を思いつく。

列車内でロネガンへの挑発に成功したゴンドルフ。フッカーは身元を隠してロネガンにゴンドルフはポーカーで詐欺を働いていたことを暴露し、ともにゴンドルフを嵌めないかと誘いだします。

やがてロネガンは、ゴンドルフが経営する偽の賭博場に顔を出し、ゴンドルフを破滅させようと企むのです。そのころ、フッカーはシカゴ警察のスナイダーとFBI捜査官にゴンドルフを裏切るように脅しをかけていていたのです…。

それを断るフッカーにFBI捜査官はこういったのです。「お前を懲役20年にし、ルーサーの妻も道連れに逮捕する」と…。フッカーはゴンドルフを裏切ることになります。そして、とどめの一撃“The Sting”を迎えます。

アメリカ映画が最も元気な70年代の映画らしい店舗の良い痛快な映画です。徐々に悪徳ロネガンが可愛く思えてきて、いつの間にかロネガンの側の立場になっているのが不思議です。

そして、詐欺と裏切りに満ちたこの物語の最後に衝撃のどんでん返しを迎えます。勧善懲悪をテーマにしているような映画ですが、きっかけは詐欺なんですよね…。

お国が変わるとこんな感じ『アイランド』

前作『私を離さないで』をご紹介させていただいたとき、イギリス映画であることを重要とお伝えしたことを覚えていらっしゃいますか?

実をいいますと今回ご紹介させていただく『アイランド』は、2005年製作のアメリカ映画なのですが、ハチャメチャなハードアクションSFで、出てくる風景も乗り物も未来感半端ない映画なのです。

でも、テーマは前作の『私を離さないで』と同じなのです。だから、お国が変わると、こんなにも見せ方が変わるものなのかと見比べるのにはいいのかと思います。

監督は『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ。キャストは、主人公リンカーンを演じるのが、ユアン・マクレガー。ヒロインをスカーレット・ヨハンソンが演じます。

2019年、戦争によって地球の大気は汚染され、生き残った人類は清潔な地下コロニーで生活をしていた。そして、ときどき地上から生き残った人間が運ばれてきます。その者たちは、記憶を持たず、コロニーの内で教育を受け、成長していくのです。

コロニー内では、決められた白のユニフォーム、活動も制限され、極度の接近は禁止、食べ物は内容と個別に決められた配給制。やはり、少しずつ変。

しかし、そんな彼の唯一の希望は、コロニーを出て汚染を免れた自然豊かな島《アイランド》に行くこと。そこに行くためには、コロニー内で行われる抽選に当選しなければいけない。人々はアイランドへ行くことを夢見て生活を続けます。

ある日、主人公のリンカーンは、施設の奥深くで蝶を見つけるのです。外界と遮断されたこのコロニーにあり得るわけがない…リンカーンはコロニーの大きな謎を知ることになります。

こちらも前作『私を…』同様、中盤でどんでん返しが行われます。『私を…』では、無垢な小学生が、真実を知る大人から衝撃的な事実を告げられるのに対して、こちらは疑念を生んだ大人の主人公が自ら謎を解いていきます。

真実を知る上では、やはり『私を…』の方が残酷な気がします。無抵抗な無垢な子供は、真実を知ったところで、何もできません。それに対してこちらの主人公たちは真実を知ることで、「怒り」という発散方法を持ち合わせています。

映画の後半は、真実を知った主人公たちの未来アクションがさく裂。これぞマイケル・ベイの映画という感じです。正直、後半はテーマのことを忘れて、アクションに酔ってきます。そして、ハリウッド映画らしいエンディングを迎えます。

派手なチェイス・シーンだけに満足せずに、ぜひともこの映画のテーマを深く考えていただきたいと思います。こんなことあり得ないと思われるかもしれませんが、もう医学的にも科学的にも可能なラインに手が届いているかもしれません。

それこそもしかしたら、秘密裏に行われているかもしれません。もしそうなったら、ご自分はどうなされますか?商品を頼みますか、それとも頼みませんか?

二作続けて同様のテーマの映画をご紹介いたしました。内容は全く違いますが、生死、00命、延命、そして、商品価値など、人間の生について考えさせる内容です。

ぜひ、身近な方とお話ししていただきたいと思います。