江戸川乱歩、横溝正史など、日本のミステリーはどこか陰湿さを感じてしまいます。が、決して悪い意味ではありません。日本の風土にあったものなのでしょう。そして、新たなミステリー作家今邑彩の小説を映画化したものが今作『ルームメイト』。

ルームシェアをすることになった女性が、同居人の友人の仕業と思われる恐ろしいできごとに巻き込まれていく恐怖を描きます。初めて心を許せる同性の友人と一緒に暮らすことになったのだが、やがて彼女の恐ろしい姿を知ることになっていくホラー・サスペンス。

監督は、『オトシモノ』『アナザー Another』などのホラー映画を手掛けた古澤健。黒沢清監督の下で鍛えられた手腕を発揮し、展開の読めないサスペンスを創り上げました。

そして、なんと言っても北川景子、深田恭子という日本を代表する二大美女の初共演が話題となりました。まさに『競演』という言葉がぴったりの迫力のある演技を見せてくれます。監督が「後半の二人の変貌ぶりは凄い!本当に驚かされました」と絶賛するほどの迫真のある演技は見ものです。

主演二人と共に共演するのは、将来有望視されている高良健吾。優しき男性の役どころなのですが、北川景子と深田恭子の迫力ある演技に圧倒されるせいか、さらにいっそう優しい男性に思えてしまいます。

事件が解決すると思えば、新たな展開を見せ、二転三転するストーリーは、観る側を驚愕させます。そして、目を覆いたくなるような悲しき真実に直面します。PG12指定となりますので、ご家庭でご覧になるときは、お子様のいないときにご覧ください。特に女の子のいるご家庭ではご注意ください。

派遣社員の春海(北川景子)は、ある夜、交通事故に遭ってしまいます。気が付くと病院のベッドの上、春海は自分が事故に遭ったことさえ覚えていません。事故を起こした加害者の工藤謙介(高良健吾)は、高校時代の友人で保険会社に勤務する長谷川とともに春海の元に見舞いに訪れます。

しばらくの入院生活が余儀なくされ、病院に勤務する看護師の麗子(深田恭子)と気が合うようになり、やがて二人の間に友情が芽生えます。

春海が退院するころ、麗子も病院を退職することになっていました。麗子は二人でルームシェアをしないかと持ちかけます。春海は、麗子とルームシェアすることを決め、二人の共同生活が始まります。

ところが最初は順調だった二人の生活だったのですが、公園で幼い姉妹が遊んでいる犬を見たときに見せた麗子の変化に違和感を覚えます。そして、ある日キッチンで煮立つ鍋の中に犬の頭部を見てしまいます。

麗子は「私はやっていない!誰かが勝手に自宅に侵入したに違いない」と言い張るのですが、春海は不信感を持ち始めます。そして、ついにはかつて麗子の同僚だった看護師が無残に殺される事件が起きてしまいます。

目撃者の証言と同じ洋服を麗子のクローゼットで見つけた春海はパニックになり、健吾の元に逃げ出すのですが…。ここから事件は、大きく動き始めます。どんでん返しを迎えことの真相を知ることになります。しかし、一度は解決した思われる事件の真相も、腑に落ちない健吾…、さらなるどんでん返しが待ち構えています。