2004年公開。公開当時はあまり話題になってはいませんでした。あれは日曜日の夜、ショッピング・モール内のシアター。奇妙なポスターに目を引かれ最終時間で映画を観ることに…。予備知識ゼロ。日曜日の午後だというのに、館内の観客は数人。ほぼ独占状態で上映開始…。

人生でこんなに疲れた映画は、かつてあったでしょうか。上映が終わって、館内に照明が付き、館内放送が入っても、しばらく立ち上がらない観客。わずか数名しかいない観客が連帯感を持ったかのように、同じようにぐったりとしている。予備知識ゼロとはいえ、あまりの迫力に疲れきったのです。

この映画をきっかけにどんでん返し映画の凄さを知り、以降多くのどんでん返し映画を観ることになりましたが、この映画の衝撃を超える映画には出会っておりません。

当時無名のジェームス・ワンとリー・ワネル(劇中アダム役で出演)が共同に脚本を執筆。この作品がデビュー作となります。キャストでは、『リーサル・ウェポン』シリーズのダニー・グローバーが有名どころですが、当時はほぼ無名の方たちばかりです。

目が覚めると、暗闇のバスタブの中。その暗闇から声がします。「ここはどこだ?」「お前は誰だ?」互いが声の主を探ろうとします。「待て!スイッチがあった」スイッチを入れると、照明が…。

老朽化したバス・ルーム。二人の男が部屋の対角線上にいます。二人の足には、それぞれ鎖がつながれています。そして、その二人の間には、右手にテープ・レコーダー、左手に拳銃を握ったまま頭から血を流している男の死体。

鎖でつながれた二人の男。一人は医師のゴードン。もう一人はパパラッチのアダム。二人はお互いに疑念を持ちながらも抜け出す方法を考えます。部屋のあちこちから手に入れたのは、テープ・レコーダー、一発の銃弾、着信専用携帯電話、そして、2本のノコギリ。

二人のズボンのポケットには、謎のテープ。メッセージを再生すると「6時間以内に相手を殺すか、それとも自分が死ぬか。」果たして、二人の運命は?

この映画からソリッド・シチュエーション・スリラーという言葉が使われました。オープニングから、謎、謎、謎の連続です。二人の男の関係は?中央の死体はだれ?犯人は?この目的は?たくさんの伏線が散りばめられます。

しかし、同僚を失った元刑事が虎視眈々と犯人の目星をつけ、その動向を狙っています。観客はこの元刑事が犯人を捕らえ、無事二人を救出してくれるのであろうと心の奥底に期待をしてラストへ向かっていきます。

このようにとんでもない状況で物語が進んでいきます。こいつが犯人だろうとか、こいつが怪しいなどという思考は、一切お持ちにならず観てください。ただ、伏線がどのように回収されていくかを楽しんでいただき、最後のどんでん返しを味わってください。

当時若きジェームス・ワンの勢いと才能を感じさせる映画です。そのワン監督が、最近では、『ワイルドス・ピードSKY MISSION』でメガホンを取り、派手なカーチェイスを撮影していることもどんでん返し。さらに主役のポール・ウォーカーが自動車事故で亡くなったことも大どんでん返しでした。