前作でもそうですが、映画のジャンル分けというのは、とても難しいものです。というのは、ジャンル分けをしてしまうと、それを頭に残したまま映画を観なければならないからです。つまり、ホラーといえば、ホラーと分かって観てしまい、サスペンスといえば、サスペンスと分かった状態で観てしまうからです。

できれば、そのジャンル分けさえも知らずに観ることによって、どんでん返しの感動が倍になったりするものです。この作品もそうです。しいて言えば、スリラーとしておきましょう。

観ている間は、この映画のジャンルはいったい何だろう?ホラーかな?サスペンスかな?と思っているところに衝撃のどんでん返しを迎え、この映画のジャンルは〇○だったのか!と自己満足するように味わって観たいものです。

こちらの原題が『Orphan』、「孤児」という意味です。邦題になっている『エスター』というのは、この映画に登場する孤児の少女の名前です。どのようないきさつでこの邦題が付いたかは、分かりませんが、悪くはないネーミング・センスです。

監督は『アンノウン』『フライト・ゲーム』など、スケールの大きな映画も手掛けているジャウム・コレット・セラ。製作にはレオナルド・ディカプリオが参加しています。

主演は、最近『死霊館』シリーズで知名度を上げてきているヴェラ・ファーミガ。2009年製作の『マイレージ、マイライフ』では、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞で助演女優賞にノミネートされています。孤児のエスターを引き取る母親を演じます。

ロシア人の孤児エスターを演じるのは、イザベル・ファーマン。最近では、『ハンガー・ゲーム』『アフター・アース』に出演しています。

孤児院から聡明そうな9歳の少女を養子にしたことによって、その家族が次々と恐ろしい出来事に巻き込まれる恐怖を描いたスリラーです。

ケイトはかつてアルコール依存症を患っていました。それが原因で、娘を溺れさせかけた経験をもち、そのことがトラウマとなっています。さらに3人目の子供を流産し、悲しみに暮れていたケイトとジョンは、その悲しみを癒すために孤児院で養子をとることになります。

孤児院で出会ったロシア人のエスターは年齢の割には、落ち着いており、音楽、絵画などの芸能の才能を持っている上、頭もよく、二人はエスターのことをすぐに気に入ります。

ケイトはかつてはピアニストとして活躍をしており、子供たちにもそれを引き継がせたかった。しかし、娘は聴覚障害を持ち、息子は音楽にはまるで興味を持っていません。そこで、エスターを引き取ることに決めるのです。

ともに生活を始めるようになると、エスターの奇妙な習慣が知ることになります。彼女は、首と手首に常にリボンを巻いており、入浴時には必ず施錠をするのです。そしてだんだんと本性を見せ始めます。

エスターの不気味な言動は、ケイトの前で徐々にエスカレートしていきます。しかし、ジョンの前では、決してその恐ろしい姿を現さない。エスターの正体はいったい?

結末はまるで想像しないどんでん返しが待っています。