どんでん返し映画のご紹介にしては、もしかしたら、人によっては、どんでん返しがないかもしれない映画です。人によってというのは、心が素直な方にとっては、この映画はどんでん返しになっていないと感じるかもしれないからです。

この映画を観ている最中、何の疑問もなくスルーして観ることができる方は、心が素直な方といえるかもしれません。しかし、どんでん返しを味わえずに面白みが足りないかもしれません。

逆に、ストーリーに疑いを持ってしまった方は、素直な心ではないのかもしれませんが、どんでん返しに愕然とするかもしれません。ご自身がどちらのタイプか、お試しください。

なんとも奇妙な映画です。弟からの誘いで軽い気持ちでゲームに参加してしまった富豪の男が体験する危険な不条理。ゲームなのか、それとも罠なのか、主人公とともに不条理を味わってください。

この奇妙な映画をつくった監督は、鬼才とも、奇才とも言われる才能を持ったデヴィッド・フィンチャー。『セブン』『ファイト・クラブ』『ゴーン・ガール』などで、観た者の気持ちを負の世界に引きずり込むことを得意としています。

主演は、『ウォール街』シリーズ、『氷の微笑』『アメリカン・プレジデント』など、どのような役も難なくこなす名優マイケル・ダクラス。大富豪役は演じているというよりも、まるで素の姿のように板についています。

共演はこちらも名優です。『アイ・アム・サム』でアカデミー主演男優賞ノミネート、『ミスティック・リバー』でアカデミー主演男優賞を受賞したショー・ペン。マドンナの元夫としても有名です。

1997年の作品。今から20年前の映画ですが、この二人の名優が兄弟役で共演していたというのは、今思えばすごいことだと改めて感じます。

実業家のニコラス(マイケル・ダクラス)は遺産を引き継いだ富豪であり、投資家である。彼は大豪邸に一人で住み、娯楽とは無縁の生活を送っていました。ニコラスは48歳の誕生日を迎えます。この年齢は、父が自殺した年齢でした。

弟のコンラッド(ショーン・ペン)と久しぶりに再会したニコラスは、誕生日プレゼントとして、CRSという会社が主催する【ゲーム】の紹介状を贈られます。娯楽とは無縁のニコラスは、最初は相手にはしていませんでした。

ニコラスは偶然見かけたCRS社に立ち寄ります。対応した男は、「ゲームを体験することを売っている」と話します。料金もかからない、キャンセルもできるという説明をされ、身体検査、心理テストを受けることになります。

その夜、いつものバーに行くと、客の老人がCRSの話をしています。その老人は、何回もそのゲームに参加したいといい、意味深な聖書の言葉を残すのでした。

そして、番号を教えていないはずの携帯電話にCRSから電話が掛ってきます。担当の女性はこう言います。「検査の結果は不合格なので、この話はなかったことにしてください」と…。

しかし、その直後から彼の身の回りで奇妙なことが起き始めるのです。自宅の玄関前には、ピエロの人形が転がっています。その場所は、父親が投身自殺をした場所だったのです。ニコラスは、ピエロの人形を家の中に持ち込み…。

アナタは、観ている最中、すべてを観終わってから、どのように感じるのでしょうか。不条理という言葉を心底感じてご覧ください。