1969年製作。映画好きなら、誰しもが観ているはずの名作ですね。物語の章が紙芝居のように展開していく、今見ると少し斬新なアイデアがアナログ的でおしゃれです。

監督は『明日に向かって撃て』『華麗なヒコーキ野郎』のジョージ・ロイ・ヒル。古き良き時代のアメリカを知るには、この監督の作品は的確です。服装や小物など、アメカジに憧れる方にはお手本となる作品がたくさんあります。

同監督の『明日に向かって撃て』で共演を果たした二人の名優ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが再共演します。『ジョーズ』で無愛想なベテラン漁師を演じたロバート・ショウが冷徹なギャングのボスを演じます。

イカサマ詐欺師が仲間を殺されたイカサマ詐欺師がギャング組織に復讐するコメディカルな犯罪映画。第46回アカデミー賞作品賞を受賞した名作です。

不思議なことに、いつの間にか、われわれ観客は詐欺師グループに騙される悪玉であるロバート・ショウ演じるボスのロネガンの側についてしまい、彼を不憫に思えてきてしまうのです。

1936年のシカゴの下町。フッカー(ロバート・レッドフォード)を含む3人の詐欺師が、通りすがりの男から詐欺をはたらき思わぬ大金を手にします。しかし、その男はギャング組織の一員だったのです。

フッカーたちはロネガンの組織の金に手を出してしまったのです。それを知った組織は報復を開始します。手始めにフッカーの師匠にあたるルーサーが殺害されます。復讐を誓ったフッカーだったが、身の危険を感じヘンリー・ゴンドルフ(ポール・ニューマン)に助けを求めるのです。

復讐のために相手を陥れることに乗り気ではなかったゴンドルフだったが、相手がロネガンと聞くと、一転ヤル気を出すのです。しかし、二人はともに詐欺師、お互いの中に本当の信頼は芽生えていないままです。

ゴンドルフは昔の詐欺仲間たちを集めて大博打を打つことを計画します。そして、列車内でポーカーが繰り広げられることを知ったゴンドルフは、それを利用し、ロネガンに挑発にかかり、さらにフッカーをロネガンの懐に飛び込ませる方法を思いつく。

列車内でロネガンへの挑発に成功したゴンドルフ。フッカーは身元を隠してロネガンにゴンドルフはポーカーで詐欺を働いていたことを暴露し、ともにゴンドルフを嵌めないかと誘いだします。

やがてロネガンは、ゴンドルフが経営する偽の賭博場に顔を出し、ゴンドルフを破滅させようと企むのです。そのころ、フッカーはシカゴ警察のスナイダーとFBI捜査官にゴンドルフを裏切るように脅しをかけていていたのです…。

それを断るフッカーにFBI捜査官はこういったのです。「お前を懲役20年にし、ルーサーの妻も道連れに逮捕する」と…。フッカーはゴンドルフを裏切ることになります。そして、とどめの一撃“The Sting”を迎えます。

アメリカ映画が最も元気な70年代の映画らしい店舗の良い痛快な映画です。徐々に悪徳ロネガンが可愛く思えてきて、いつの間にかロネガンの側の立場になっているのが不思議です。

そして、詐欺と裏切りに満ちたこの物語の最後に衝撃のどんでん返しを迎えます。勧善懲悪をテーマにしているような映画ですが、きっかけは詐欺なんですよね…。